IT業界における採用今昔

IT業界における採用今昔

私が学生だった頃、アルバイトは老舗求人広告会社が発行しているアルバイト誌が情報源であり、気に入った求人広告をチェックしては、手当たり次第に電話したものだ。
また、それにさえも金を使いたくない(もしくは無い)求職者は、ハローワークに行き募集広告をチェックしていた。
 当時のハローワークといえば、求人情報はプラスチックのファイルに入れられて、地区ごとに分けられていた。
今のようにPCに向かって条件をクリックし、容易に条件を絞り込み、簡単に印刷したりする様なシステムは存在しなかった。
そもそも1990年代前半は、インターネットなど民間には無く、携帯さえも一般的で無い時代だったこともあるが…
 携帯電話の普及が昨今の「インターネットの普及に拍車をかけた」とか、「携帯電話のiモードが原点だ」などと、言う人々もいるが、話を戻すと、アルバイトの情報発信そのものが、雑誌(すなわち紙媒体)からネットへ変わり、その見せ方も大きく変わっていった。

求人と言えば先の老舗広告会社が有名だが、インターネットの始まり当初にスタートしたいわゆるベンチャー企業も登場し、当時画期的な求人情報としてデビューしたのを覚えている。
当時私はソフト会社に在籍しており、求人広告の作成や構成を担当していたが、情報源は広告会社の担当者とのメールないし電話(FAX)がメインだった。
当時(2000年代前半)は、雑誌とWebと混在での掲載が多く(いわゆる抱き合わせ販売だが)、料金も今では考えられないくらい高額だった。
 新しいことも相まって、Webでの掲載は特に高額で、雑誌は逆に値段据え置き設定。
それでも一応IT企業だったので、Web掲載を幾度となく出すのだが、当時はサイトのテンプレートが、今ほど融通が利かず、中小(当時は零細企業に近かったが)企業の私としては、いつもネタ探しに苦労したのを鮮明に覚えている。
 
余談が長くなったが、Webの発展に伴って求人サイトも発展したか、と言うと…それとこれとは比例しないと私は思っている。
求人広告の一つの売り方(見せ方)が、雑誌から始まり、やがてWebに変わっただけであって、それらを取り扱う企業は原来何も変わっていないのだから。
 変わったことと言ったら、企業サイト(自社サイト)でのリクルートページが出せる、ことくらいしか変わっていないのだ。
それも、「変わった」のではなく、求人広告が高いから、唯一無料で出せる広告を、自社サイトにしてみただけである。

 話を元に戻そう。Web2.0と言われるバズワードが日本のWebの新時代を創ったと私は今でも思っている。
それは、Blog、Twitter、写真投稿(共有)サイトのflickrやYouTubeなど、無料で情報を発信して、数多の人々と情報を共有する文化が、ジワリジワリと浸透していった。
 これは非常に興味深い出来事であり、世の中が変わると騒ぎ始めたサービスだった。
しかし、当時のIT企業(ソフトウェアが主流の会社)には、全く受け入れられなかったのだ。
「なぜ企業サイトに社長の日記を載せるんだ!?一体誰がそんなものを読むんだ!?」と当時私は取引先から言われ、さらには「企業機密を漏洩しかねない」などと、散々コケにされたものだ。

しかし、それらはやがて時代に払拭され、そんなことを言っていたオジ様管理職が、使えているふりをしながら型落ちしたアンドロイドをいじっている。
 情報の大半はスマホをイジって探し、メールの大半を電車の中からスマホで送受信。
こんな時代になると20年前にイメージしていた人は、当然時代の寵児となり、世界の富の半数以上をそれら一握りの人々が握る時代になった。
そして今また、新しい風が吹き始めていると感じる。
紙からWebへ進化し、Webを使って個人(企業)がメディアを創造する時代に私は生きていると考えると、面白くもあり、「20年、時代を戻せたならぁ」と思うのである。

とはいえ、インターネット革新やデバイスの急激な進化によって情報化社会に移りゆく中で変わっていないこともあるわけで、採用はまさにその一つである。
私が考案したAllZemは、この記事前半で書いた様に、企業の採用におけるコストや中小企業が抱える悩みや問題を、根本から変えることが、企業の人財採用に大きく寄与するのではないかと感じたのだ。

有名採用サイトでは、企業イメージが優先する為、知名度の低い企業は、広告を出すことがある種の神頼みであり、効果を予測することはほぼ不可能。
採用予算があれば話は別だが、それができれば苦労はしないのだ。
 また、広告料金や掲載期間がある為、常に掲載することが難しいこともある。
ひと昔前のSEOにお金をかけて、Blogを更新してTwitterも一所懸命に更新しても、どうしても効果が得られない。

やがて時は流れ、雇用調整助成金(人は採れても仕事が無い時代)や有効求人倍率の上昇(仕事があっても人が採れない時代)を経験し、現在有効求人倍率(転職サイトDODA:2018年1月)がIT業界においては約6倍に達している。
仕事があっても人が採れないのだ。
 ひと昔前のように、「広告を出せば」「エージェントに依頼すれば」「ハローワークに出せば」いつでも人が採れた時代は昔話であり、「採りたくても採れない」「仕事があるのに人がいない」時代に突入したのだ。
 
求人広告にも変化が現れ、「無料掲載」「応募課金」「数字設定」など、Webの進化と共に広告業界の営業手法も変化した。
 しかし、それらの変化はあくまでも顧客である「企業」へのアプローチであり、求職者側への変化は大きなモノは現れていない。

Webの進化で情報は溢れる時代、仕事内容や給与に残業代まで、ほとんど全ての情報が覗ける今、『何を基準に転職先企業を決めるか』を読者(求職者)に決めさせるには、何が必要なのだろうか。

 今回、AllZemを立ち上げるにあたり私たちが考えてきた事は、「人との共感を得られる、引き算して物語を創造する」サイトである。
それは、単純に企業情報を掲載して、仲良し風の写真を並べて飾ったモノではなく、企業で起きている全ての事象をBlog風に掲載する。
そしてそれらをベースに企業文化を感じてもらい、やがて転職へと導く導線として、それらBlog(記事)からファン(follower)が生まれ、未来の社員候補)が誕生する。

採用と営業を同時に行える場所。
時間を決めず、フレキシブルに企業とコミュニケーションが取れる場所。
転職して来てくれるファンを増やす場所。
「来たい」と思わせる記事に溢れる場所。
リアルな企業風土(情報)が満載の場所。
採用=転職達との共感を生み出す場所。

新たな企業のコミュニケーションの場所であると信じている。

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